ストレートネックを招く意外な習慣とは?
「ストレートネックですね。」
レントゲンを撮った際、このように言われた経験がある方も多いのではないでしょうか?ストレートネックとは、本来ゆるやかなカーブを描いている首の骨(頸椎)が、まっすぐになっている状態を指します。
一般的には、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用が原因と言われています。確かに、それらはストレートネックの大きな要因です。しかし、私が理学療法士として多くの方の体を見てきた中で感じるのは、「首だけを見ても根本的な改善にはつながりにくい」ということです。
実は、ストレートネックの本当の原因は、首ではなく胸椎(背中の上の方の背骨)に隠れていることが少なくありません。まず一つ知っておいていただきたいことがあります。
それは、「レントゲンで首がまっすぐだから悪い」というわけではないということです。
実際にレントゲンではストレートネックと診断されても、首を動かしてみると頸椎がしっかり動いている方もたくさんいらっしゃいます。そのような方は、不調がほとんど出ていなかったり、症状が軽かったりすることも珍しくありません。
逆に、レントゲンではそれほど問題がなくても、首が硬く動かない方は、首こりや肩こり、頭痛などの症状が強く出ることがあります。
つまり、大切なのは首の形ではなく、「首がしっかり動く状態なのか」ということです。
では、なぜ首がストレートになってしまうのでしょうか。そこで重要になるのが、首のすぐ下にある胸椎です。胸椎が後ろへ丸くなる「後弯(こうわん)」という姿勢になると、頭を支えるために首が前へ押し出されます。その結果として、ストレートネックの姿勢になってしまうことがあるのです。
イメージしやすいのは、猫背や巻き肩です。さらに私が施術でよく見かけるのが、胸椎の上の方にもたれるクセです。
ソファーに座るとき。
車を運転するとき。
デスクワークで椅子に寄りかかるとき。
こうした場面で、背中の上の方だけを支点にしてもたれている方は意外と多くいらっしゃいます。
この姿勢が毎日の習慣になると、胸椎の動きが悪くなり、首がストレートな状態で過ごす時間が長くなってしまいます。ぜひ一度、ご自身の座り方を確認してみてください。
「胸椎の上の方だけでもたれていないかな?」
このチェックだけでも、とても大切な第一歩になります。
また、胸椎が丸まって動きにくくなると、呼吸も浅くなります。
胸が広がりにくくなることで、体がリラックスしにくくなるためです。
寝つきが悪い。
眠りが浅い。
朝起きても疲れが取れない。
何となく体がだるい。
このような自律神経の不調につながるケースも少なくありません。
つまりストレートネックは、首だけの問題ではなく、胸椎・呼吸・自律神経まで影響する可能性があるということです。
改善のために大切な3つのポイント
① 胸椎の上にもたれるクセを減らす
まず一番大切なのは、胸椎の上にもたれないことです。
気付いたら背中を少し離す。
また気付いたら姿勢を戻す。
この小さな積み重ねだけでも、胸椎への負担は大きく減らすことができます。
② ストレッチポールで胸椎を動かす
すでに胸椎が丸まって硬くなっている方は、姿勢を意識してもすぐ元に戻ってしまうことがあります。
そのような場合は、ストレッチポールがおすすめです。
ポールの上に仰向けになり、背骨をゆっくり当てながら体を少し揺らすことで、固まった胸椎に刺激が入り、動きが出やすくなります。
ストレッチポールがなければ、バスタオルを丸めたものでも代用できます。
③ 四つ這いで背骨全体を動かす
もう一つおすすめなのが、四つ這いで背骨を動かす運動です。ハイハイをしたり、背中を丸めたり反らしたりする運動は、胸椎だけでなく背骨全体の動きを引き出してくれます。
背骨全体がしなやかに動くようになることで、首だけに負担が集中しにくい体へ変わっていきます。ストレートネックというと、首ばかりに目が向いてしまいがちです。しかし、本当に大切なのは首だけを施術することではありません。
胸椎がしっかり動き、背骨全体で体を支えられる状態を作ること。
それが結果的に首への負担を減らし、肩こりや頭痛、さらには呼吸や自律神経の改善にもつながっていきます。もし首をマッサージしてもなかなか改善しないと感じているのであれば、一度「胸椎の動き」に目を向けてみてください。
体はすべてつながっています。首だけではなく、背骨全体から整えていくことが、ストレートネック改善への近道になるかもしれません。