作業中の「あるクセ」が肩の負担に…プロが教える見直しポイント

肩の痛みに悩む方はとても多く、当院にも日々たくさんの方がご相談にいらっしゃいます。
多くの方は「肩そのものに原因があるのでは?」と思いがちで、肩周辺や肩甲骨まわりだけに注目しがちです。
もちろん、そういった部分が原因になっていることも多いのですが、実はそれだけではなく、肩以外の場所が肩の不調に深く関わっていることもよくあるのです。
今回のブログでは、そんな「意外な肩こり・肩の痛みの原因」についてお伝えしていきます。
肩は“手の使い方”に大きく影響される
まず注目していただきたいのが、前腕(肘から手首まで)や手首・指の使い方です。
私たちは日常生活の中で「肩だけを動かす」という場面はほとんどありません。ほとんどの場合は手を使うとき、つまり物を持ったり書いたり操作したりする動作の中で、肩も同時に動いています。
そのため、手や前腕の使い方が肩の負担に直結するというわけです。
特に注意したいのが「脇を広げて作業している姿勢」です。
家事やパソコン作業、料理などで無意識に脇が開いた状態になっている方は要注意。
この姿勢は肩への負担が大きく、痛みや疲労を引き起こしやすくなります。
できるだけ脇を軽く締めて作業することを意識するだけでも、肩の痛みを和らげる効果が期待できます。
肩の痛みと“足の使い方”の意外な関係
さらに見落とされがちなのが、「足の使い方と肩の痛み」の関係です。
「えっ?足と肩が関係あるの?」と思われるかもしれませんが、実は体は全身つながっていて、姿勢や重心のかけ方が上半身の動きに大きく影響しているのです。
例えば、自宅で一度試してみてください。
立った状態で右足にグッと体重をかけたまま両手を上に上げてみてください。
次に、体重を均等にかけてから同じように手を上げてみると、肩の動かしやすさが全く違うことが分かるはずです。
実際に当院に来られる肩の痛みを訴える方の中でも、3割〜5割ほどの方が「足の使い方」を見直すことで症状が改善しています。
特に、作業中に足で踏ん張る癖がある方は要注意です。踏ん張ることで肩周りの筋肉に余計な緊張が生まれ、動きにくくなってしまいます。
日常生活で取り入れたい、肩を楽にする工夫
では、どうすれば肩に負担をかけにくくなるのでしょうか?
例えば、
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作業中は膝を軽く曲げて力を抜く
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長時間同じ姿勢を避けて、こまめに足踏みをしてリセットする
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足の裏の重心を前後に移動させてみる(体の重心のかたよりをなくす)
といった簡単な工夫を取り入れるだけでも、肩への負担がかなり変わってきます。
また、手や指の使い方も見直してみてください。
握りしめたり、強く押し続けるような作業を繰り返している方は、前腕の筋肉が硬くなりやすく、それが肩の可動域にも影響してきます。
日常のクセを少し見直すだけで、肩への負担を軽減し、痛みの予防につながるのです。
肩の痛みは、肩そのものだけが原因ではありません。
手・腕・足といった全身の使い方を見直すことで、根本的な改善を図ることができるケースも多いです。
「肩が痛いから肩をもむ」「ストレッチをする」というケアも大切ですが、体全体をひとつながりのものとして捉えることが、根本的な回復や再発予防には欠かせません。
ぜひ、今日から日常生活の中でご自身の姿勢や体の使い方に目を向けてみてくださいね。
自分の健康は自分で守る。
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