膝の使い方が股関節痛を悪化?

こんにちは。整体院しん院長の今井です。
「変形性股関節症」と聞くと、多くの方が股関節の骨がすり減って痛みが出る病気というイメージを持っています。もちろん、関節の変形や軟骨のすり減りが直接的な痛みの原因になることもあります。
しかし、実際には股関節そのものだけでなく、体の使い方や他の関節の働きが大きく影響しているケースも少なくありません。
股関節は体重を支えながら、歩く・立つ・座るといった日常の動作をスムーズに行うための重要な関節です。ところが、この股関節が本来の動きをできていないと、周囲の筋肉や他の関節に負担がかかりやすくなります。
例えば、股関節が内側に回りやすい内旋傾向にあると、体をひねったときや振り向いたときに股関節が詰まったように感じたり、痛みが出やすくなります。
このとき、原因は股関節そのものだけではなく、膝や足首がうまく使えていないことが関係している場合があります。膝や足首の動きが制限されると、その分の負担を股関節が引き受けることになり、痛みが増してしまうのです。
当院にいらしたある方も、「股関節が痛くて困っている」とご相談されました。お話を伺い、動きを確認してみると、股関節の可動域は確かに制限されていましたが、それ以上に気になったのが膝の伸ばす力が非常に強く入っていたことでした。
膝を常に伸ばすような筋肉の使い方をしていると、脚全体が固まりやすくなります。その結果、股関節の動きが制限され、動くたびに関節に圧がかかってしまう状態に…。つまり、この方の場合は膝の使い方が股関節の痛みを助長していたのです。
股関節の役割は非常に大きいですが、実は膝や足首と密接に連動しています。立っているときも歩いているときも、これらの関節は協力しながら体を支えています。一部の関節に動きの不具合があると、他の関節がその分の負担を背負うことになるのです。
ですから、変形性股関節症のケアでは、股関節だけに注目するのではなく、膝・足首・骨盤周りなど全体のバランスを見ていくことが重要になります。
股関節の動きをスムーズにするためには、まずは土台となる膝と足首の柔軟性を確保することが大切です。足首を軽く回したり、ふくらはぎを優しくほぐすだけでも、股関節の動きやすさは変わります。
また、股関節周囲の筋肉はただ柔らかくするだけでなく、使える状態にすることが必要です。痛みがあるとついマッサージだけで終わらせがちですが、筋肉は「柔らかくする+使えるようにする」ことで本来の働きを発揮します。立ったまま軽く脚を振る、椅子に座って股関節を外に開く運動なども効果的です。
さらに、全身の連動を意識することも欠かせません。歩くときに股関節だけでなく、足首・膝・骨盤・背骨までが自然に動いているかを意識してみてください。体全体がしなやかに動くことで、局所への負担はぐっと減ります。
変形性股関節症と聞くと、「股関節の骨の問題だから、股関節ばかりをケアすればいい」と思われがちです。しかし実際には、膝や足首などの他の関節の働きや体の使い方のクセが痛みの大きな原因になることもあります。
痛みがなかなか改善しないときは、股関節そのものだけでなく、全身のバランスを整える視点を持つことが大切です。「股関節のケア=股関節だけ」ではなく、「股関節を楽にするために全身を見る」という考え方を取り入れてみてください。